3巻「火竜山の魔竜」(上)のあらすじ

新装版 ロードス島戦記 (全7巻) Kindle版

英雄アシュラムの野心と氷竜の死

物語は、暗黒の島マーモの騎士アシュラムが、ロードス北部のターバにあるマーファ大神殿を訪れる場面から始まる。

アシュラムはかつての英雄ベルドの近衛騎士隊長であり、現在はマーモ帝国の実力者のひとりである。

彼の目的は、手にした者に絶対的な支配力を与えるという古代王国の秘宝「支配の王錫」を手に入れることであった。

アシュラムは六英雄のひとりである最高司祭ニースに対し、白竜山脈の氷竜ブラムドが守護していた宝の行方を問い詰める。

彼はすでにブラムドを討ち取っていたが、そこには目的の王錫がなかったからである。

ニースは、かつてブラムドの呪縛を解いた際に「真実の鏡」を譲り受けた事実は認めたが、王錫については関知していないと答える。

アシュラムは再戦を期して神殿を去り、残る太守の秘宝を求めて次なる目的地へと向かう。

傭兵シーリスと狂戦士オルソンの登場

英雄戦争の終結から五年、アラニア王国はラスター公爵とアモスン伯爵による激しい内戦状態にあった。

この混乱のなか、女傭兵シーリスと、怒りの精霊に取りつかれた「狂戦士」オルソンが物語に加わる。

彼らはラスター公爵の依頼を受け、独立運動を続ける北部のザクソン村から税を徴収するために派遣された。

ザクソン村では、自由騎士パーンとハイエルフのディードリット、そして魔術師スレインの弟子であるセシルが村を守っていた。

シーリスらはセシルを罠にはめるが、パーンたちの介入により形勢が逆転する。

戦闘の最中、オルソンは精神の上位精霊ヒューリーの干渉によって狂戦士化し、敵味方の区別なく襲いかかるが、ディードリットの精霊魔法によって鎮められる。

砂漠の王国フレイムの危機

スレインがマーファ神殿から戻り、アシュラムが支配の王錫を狙って動きだしたという危機をパーンたちに伝える。

一方、アシュラムはフレイム王国の首都ブレードにあるマイリー神殿を訪れ、司祭ホッブを仲間に加えた。

時を同じくして、パーンとディードリットもスレインらとともにフレイムへ到着し、国王カシューと再会する。

カシューは、砂漠の西に広がる「火竜の狩猟場」で魔竜シューティングスターが活動期に入り、難民の村を焼き尽くしている現状を語る。

支配の王錫は、残る三頭の古竜、すなわち火竜シューティングスター、水竜エイブラ、金鱗の竜王マイセンのいずれかが持っている可能性が高いとされる。

火竜の狩猟場における激突と魔竜の敗走

アシュラムの野望を阻止し、かつドラゴンの脅威を取り除くため、一行は二手に分かれることを決断する。

オルソンをリーダーに、スレイン、レイリア、シーリス、セシルは、アシュラムが向かったとされる青竜の島を目指す。

パーンとディードリットはカシュー王に同行し、シューティングスターとの決戦に挑む。

フレイム軍は草原で魔竜と激突し、凄まじい火炎攻撃によって甚大な被害を受ける。

しかし、ディードリットが風の上位精霊ジンを召喚して魔竜を墜落させ、カシューが魔竜の左目を突き刺すことで深手を負わせることに成功する。

傷ついたシューティングスターは「鱗一枚につき百人の人間を殺す」という呪いの言葉を残して火竜山へ逃げ去った。

カシューとパーンは、魔竜を完全に討ち取るため、ライデン経由で火竜山へ向かう決意を固める。