1巻「灰色の魔女」のあらすじ

新装版 ロードス島戦記 (全7巻) Kindle版

マーファ大神殿における序奏

新装版ロードス島戦記灰色の魔女の第一章冒頭は、ロードス最北に位置するターバの村はずれにあるマーファ大神殿の描写から描かれている。

大神殿の最高司祭であるニースが、神殿の宿舎にある自室で一人の客を迎える場面である。

その客とは大地の妖精ドワーフのギムであり、彼は七年前に行方知れずとなったニースの娘レイリアを捜し出すために旅に出る決意を伝えている。

ニースはギムの固い意志を知り、娘を連れ戻すよう彼に依頼した。

ギムはこの旅の途上で知己である魔術師スレインを訪ねるため、まずはザクソン村を目指して神殿を出発している。

仲間の集結

ザクソン村では、若き戦士パーンは村を脅かす妖魔ゴブリンの退治を村人に呼びかける。

しかし賛同を得られず、親友の神官エトとともにふたりだけで出発する。

しかし、数に勝るゴブリンとの戦いで窮地に陥り、間一髪のところで魔術師スレインとドワーフのギムに命を救われる。

パーンは自らの未熟さを自覚し、武者修行の旅に出ることを決意してスレインとギムを仲間に加えた。

一行は王都アランへと向かい、そこで美しいハイエルフのディードリットと、機転の利く盗賊ウッド・チャックに出会い、冒険の仲間に加えた。

灰色の魔女の暗躍とカノン王国の滅亡

一行はウッド・チャックがもたらした情報をもとに、アラニア王カドモス七世の暗殺計画を阻止するべく調査に乗り出す。

計画を阻止した彼らは、その背後で歴史を操ろうとする灰色の魔女カーラの存在を初めて知ることになる。

その最中、暗黒の島マーモの皇帝ベルドがカノン王国へ侵攻し、これを一気に攻め滅ぼしたという急報が届いた。

パーンたちはさらなる戦乱を防ぐため、ヴァリス王国の英雄王ファーンに危機を伝えるべく旅立つことを決め、古代のエルフの呪いが残る禁断の地、帰らずの森を抜けてヴァリスへと入った。

王女救出とカーラの正体

ヴァリスへの道中で、一行はマーモ軍にさらわれたフィアンナ王女を救出するために戦うが、カーラの圧倒的な魔力の前に一度は敗北して囚われの身となる。

しかし、彼らは自力で脱出に成功し、無事に王女を救い出して王都ロイドへと送り届けた。

その後、カーラの正体と目的を突き止めるため、一行はモスの山奥に住む大賢者ウォートのもとを訪ねる。

ウォートは、カーラが五百年以上前の古代王国の魔術師であり、装着した者の精神を支配する額冠に魂を宿して生きながらえてきた事実を明かした。

彼女の目的は、ロードスに突出した勢力が現れないよう歴史を裏から操作し、常に均衡を保つことにあった。

英雄戦争とギムの誓い

ドワーフのギムは、現在カーラに肉体を支配されている女性が、かつて自分と縁があったマーファの司祭レイリアであることを確信し、自らの手で彼女を救い出すことを誓う。

一方、ロードス島全土を巻き込む英雄戦争が本格化し、聖王ファーン率いる連合軍と暗黒皇帝ベルド率いるマーモ軍が平原で激突した。

かつての戦友であったファーンとベルドは一対一の死闘を演じるが、戦いの最中に双方が倒れ、時代の終焉を迎えた。

戦場が混乱するなか、パーンたちは混乱の元凶であるカーラとの決着をつけるため、ルノアナ湖にある彼女の隠れ家へと向かった。

最終決戦と新たなる旅立ち

一行はウォートから授かった魔法の武具を用い、カーラとの最終決戦に挑む。

激戦のなかでギムは、自分の命を犠牲にしてレイリアの額から魔法の額冠を外すことに成功し、彼女を長い支配から解放した。

しかし、盗賊ウッド・チャックが魔法の額冠を奪って自ら装着してしまい、新たなカーラとなっていずこかへと姿を消した。

戦争が終結した後、エトはヴァリス王に即位し、スレインはレイリアとともにザクソンの村へと戻っていった。

パーンは、ウッド・チャックを追うため、ディードリットとともに再び冒険の旅へと出発した。