7巻のあらすじ

『境界線上のホライゾンVII』(上・中・下)は、三方ヶ原の戦いおよび小田原征伐を経て、武蔵勢が占領された本拠地・江戸と里見家の領土を奪還するために動き出す「関東解放」を主軸とした物語である。
「関東解放」の戦略的背景
武蔵アリアダスト教導院の一行は、極東の主権回復という大義名分を掲げ、歴史再現上の「慶長の役」を解釈として適用することで、江戸および房総半島への介入を開始する。
この軍事行動は、P.A.Oda(織田家)の勢力下にある関東を解放し、後の歴史の転換点である「本能寺の変」へ向けた足場を固めるために不可欠なステップである。
滝川・一益と「白鷺」の脅威
武蔵の前に立ち塞がる主要な敵対勢力は、P.A.Odaの重臣、滝川・一益が指揮する白の航空戦艦「白鷺(および白鷺・改)」である。
この戦闘は歴史再現上の「神流川の戦い」として位置づけられ、武蔵側は滝川勢を関東から退けることで、織田信長の死後の勢力図を確定させるための「信長暗殺フラグ」を確立させようとする。
里見家の再起と大遺跡の攻防
小田原征伐を経て武蔵に身を寄せていた里見・義康は、自国の解放と名誉のために立ち上がる。
彼女は里見家の象徴である武神「義」を駆り、羽柴勢に占領された房総半島の最前線へと赴く。
物語の舞台は調布などの「大遺跡地帯」へと移り、神代の遺物である巨大建造物が並ぶ特殊な地形を活かした戦略戦が展開される。
ここでは重力障壁を駆使した防御戦や、遺跡の構造を逆手に取った高度な技術戦が描かれる。
三国会談の余波と大罪武装
小田原で行われた毛利、北条、武蔵の三国会談による政治的な影響が、この関東解放の行方にも影を落とす。
武蔵副会長の本多・正純は、軍事的な衝突だけでなく、各国との複雑な外交交渉を通じて、武蔵の独立性を維持しつつ勝利を掴み取るための道筋を模索する。
また、物語の中盤では、ホライゾンの持つ大罪武装「焦がれの全域(オロス・フトーノス)」の活用や、世界の真実に迫る三種の神器に関する情報が物語の重要な鍵として提示される。
「本能寺」へのカウントダウン
関東における一連の戦いは、シリーズ最大の転換点の一つである「本能寺の変」の再現に向けた不可避のプロセスとして描かれている。
羽柴秀吉による天下統一の動きが加速する中で、武蔵勢が関東を解放し、極東の主権を手にできるかどうかが、世界全体の運命を左右する分岐点となるのである。
この第VII巻は、緊迫した戦闘描写と、歴史再現を逆手に取った高度な論理戦が融合し、武蔵の面々がそれぞれの「夢」と「役割」を再確認しながら未来を切り開く物語である。