3巻のあらすじ

『境界線上のホライゾンIII』(上・中・下)は、三河争乱を経て甚大な被害を受けた独立領土「武蔵」が、修理と供給のために中立地帯である巨大浮上島「IZUMO」へ寄港し、そこでの国際的な圧力や歴史再現に立ち向かう物語である。
IZUMOへの寄港と国際情勢の激変
三河での激闘を終えた武蔵アリアダスト教導院の一行は、艦体の修復と物資補給のため、出雲企業座が管理する浮上島IZUMOへと入港する。
しかし、三河を消失させた責任と大罪武装の保持を危惧する聖連(聖譜連盟)は、武蔵への警戒を強めていた。
特に、M.H.R.R.(神聖ローマ帝国)と六護式仏蘭西(エグザゴン・フランセーズ)の艦隊がIZUMOを包囲し、武蔵を自国の勢力下に置こうと政治的な圧力を加える。
ミトツダイラと人狼女王の対峙
物語の個人的な焦点は、第五特務ネイト・ミトツダイラとその母、六護式仏蘭西の副長である人狼女王レーネ・デ・ガルウの衝突に置かれる。
レーネは、武蔵の総長である葵・トーリを誘拐し、武蔵側が自国に従うよう迫る。
ミトツダイラは、騎士としての誇りと武蔵への忠義、そして母親への複雑な感情の間で揺れ動きながらも、己の在り方を証明するために人狼女王との過酷な直接対決に臨むことになる。
「マクデブルクの掠奪」と歴史再現への介入
並行して、三十年戦争の重大な転換点とされる「マクデブルクの掠奪」の歴史再現が進行する。
M.H.R.R.旧派のティリー将軍(柴田・勝家)率いる軍勢がマクデブルクを蹂躙しようとする中、武蔵勢は改派プロテスタントの代表である巴御前(ルター)らと協力し、この惨劇を回避するための介入を開始する。
武蔵副会長の本多・正純は、各国の利害が衝突する中で、いかにして犠牲を最小限に抑えつつ、武蔵の独立性を認めさせるかという高度な論理戦を展開する。
三国会議と「新秩序」の萌芽
物語の終盤にかけて、最上家、伊達家、上越露西亜(ウエッスヴイエート・ルーシ)といった東国・奥州の有力諸家との交渉も本格化する。
武蔵勢は、羽柴秀吉の天下統一事業に対抗し、極東の自由を守るための「共同体」の構築を模索し始める。
これは後の「関東解放」や「ヴェストファーレン会議」に向けた重要な布石となる。
結末と次なる旅路
激闘の末、武蔵勢はマクデブルクの住民や要人を救出し、人狼女王との決着を経てIZUMOでの危機を乗り越える。
ホライゾンは自らの大罪武装「焦がれの全域(オロス・フトーノス)」の性質を自覚し始め、トーリと共に「誰も失わせない」末世解決の道を改めて決意する。