1巻のあらすじ

『境界線上のホライゾン』第1巻(上・下)のあらすじは、極東(日本)の存亡と一人の少女の救出を巡る壮大な物語の幕開けである。
世界背景と導入
かつて人類は天上の地から地球の極東へと降り立ったが、星の環境が厳しかったため、再び天へ昇ることを目的として聖譜(テストメント)に基づいた歴史の再現を行っている。
物語の舞台は、極東唯一の独立領土として認められた巨大航空都市艦「武蔵」にある武蔵アリアダスト教導院である。
この教導院の総長兼生徒会長を務める「不可能男(インポッシブル)」こと葵・トーリは、10年前に事故で亡くなった幼馴染と同じ名を持つ、感情を持たない自動人形の少女・P-01sに恋をしていた。
三河消失とホライゾンの正体
物語は、トーリがP-01sへ告白を決意するところから動き出すが、同時期に三河の君主・松平元信が「三河消失」という地脈暴走事件を引き起こす。
元信は死の間際、P-01sの正体が10年前に死んだはずの自身の娘、ホライゾン・アリアダストであることを全世界に告げた。
さらに、彼女の魂には人間の原罪をモチーフとした大規模破壊武装「大罪武装(ロイズモイ・オプロ)」の一つである「焦がれの全域(オロス・フトーノス)」が同化しており、他の大罪武装を制御する中枢であることも明かされた。
聖連の介入と武蔵の決断
この事態を受け、聖連(セイレン)およびK.P.A.Italiaは、三河消失の責任追及と違法な大罪武装の回収を名目に、ホライゾンの身柄を拘束し、彼女に自害を命じる。
武蔵の暫定議会や教皇総長は国際問題化を避けるためにこれを受け入れようとするが、トーリを中心とする学生達は彼女を救うために立ち上がる。
副会長の本多・正純は、救出が聖連との全面戦争を招くリスクを説く。
だが最終的にトーリの「ホライゾンを救い、彼女の感情である大罪武装を全て取り戻して世界を征服し、末世(まっせ)を解決する」という意志に賛同し、武蔵は世界を相手取った救出作戦を開始する。
救出作戦と感情の奪還
武蔵の面々は三河の「刑場(アンダミオ・デラ・エジエクシオン)」に突入し、トーリは死の壁を越えてホライゾンと対面する。
自動人形としての「最善の判断」に従い死を受け入れようとするホライゾンに対し、トーリは「平行線」の議論を通じて彼女の隠された本心を突き、生きる権利を肯定させた。
この瞬間、ホライゾンは自身の感情の一部である「悲しみ(リピ)」を取り戻し、大罪武装「悲嘆の怠惰(リピ・カタスリプシ)」を起動してK.P.A.Italiaの旗艦を撃沈する。
結末と次なる旅へ
救出に成功した武蔵は、聖連の支配から脱し、ホライゾンの全ての感情(大罪武装)を回収するために各地を巡る新たな航海へと出発した。
これは、単なる少女の救出に留まらず、極東が世界の主権を取り戻し、滅びゆく世界の運命に抗う物語の始まりとなったのである。