6巻のあらすじ

『境界線上のホライゾン』第VI巻(上・中・下)は、関東の雄である北条家と、西国の有力勢力である毛利家、そして武蔵が三つ巴の交渉と戦闘を繰り広げる「小田原征伐」および「備中高松城の戦い」を描いた物語である。
目次
関東の要衝・小田原への介入
物語の舞台は、関東を支配する北条家の拠点・小田原へと移る。
武蔵勢は、極東の主権回復と聖譜記述の遂行を目的とし、歴史再現上「滅び」を待つのみとなった北条家との接触を図る。
北条家は、P.A.Odaの羽柴秀吉による「関東惣無事令」によって四面楚歌の状況にあり、総長兼生徒会長の北条・氏直は、自らの国と民の行く末を案じていた。
三国会談と「二十六の城」
本巻の政治的ハイライトは、武蔵、北条、そして六護式仏蘭西を後ろ盾とする毛利家による大規模な交渉である。
毛利の代表である毛利・輝元は、自国の権益と歴史再現の完遂を求め、武蔵に圧力をかける。
武蔵副会長の本多・正純は、北条が所有する「二十六の城」の攻略という難題を巡り、これら強力な個性を持つ指導者達と舌戦を繰り広げる。
ここでは、単なる領土争いを超えた「敗者の誇り」と「勝者の責任」が問われることとなる。
西国での「水攻め」の並行
関東での動向と並行して、西国(六護式仏蘭西)では羽柴勢による「備中高松城の戦い(水攻め)」が歴史再現として進行する。
竹中・半兵衛率いる羽柴の精鋭「羽柴十本槍」が、毛利の本拠地である巴里(パリ)へと迫り、大規模な土木作業と流体を用いた「水没」が狙われる。
この西と東の戦況は密接に連動しており、武蔵勢の判断が大陸全土の運勢を左右する構造となっている。
代表戦(相対戦)の激化
小田原の街を舞台に、武蔵の主力メンバーと北条・毛利・羽柴の精鋭による相対戦が次々と行われる。
シロジロ・ベルトーニ vs 加藤・嘉明
この戦いは、武蔵の会計であるシロジロ・ベルトーニと、羽柴十本槍の三番(北条側代理)である加藤・嘉明の間で行われた。
シロジロは自身の「商業力」を武器とし、大量の硬貨を弾丸として放つ「硬貨弾」を用いて攻撃を展開した。
対する嘉明は、空間から長さ1メートルほどの装甲板を複数枚射出し、重力制御によってそれらを自在に操ることで防御と攻撃を両立させた。
シロジロは過去の商売上の失敗による赤字を補填するため、北条の権益を奪うべく金銭と術式を惜しみなく投入して戦ったが、嘉明の堅実な立ち回りの前に苦戦を強いられた。
大久保・長安 vs 世鬼・政定
武蔵の代表委員長である大久保・長安と、毛利家の忍びであり自動人形でもある世鬼・政定の相対は、小田原の街中にある湯屋を舞台に繰り広げられた。
世鬼はロングナイフを主武器とし、相手の駆動系や動作に介入して自壊を誘うという、自動人形や武神に対して特攻を持つ戦術を得意としていた。
大久保は自身の左腕の義腕や、ストールの下に隠した短刀の鞘を用いることで世鬼の猛攻を凌いだ。
本多・二代 vs 北条・氏直
武蔵の副長である本多・二代と、北条家の当主である北条・氏直による決戦は、小田原征伐の掉尾を飾る一戦となった。
二代は三河争乱で破損した「蜻蛉切」のレプリカである「蜻蛉スペア」を携えて戦いに臨んだ。
対する氏直は、自動人形の身体と、数瞬先の未来を予見する義眼「先手輪廻」を用いて、二代の攻撃を完璧に見切る戦いを見せた。
結末への流れ
物語の終盤では、北条・氏直が自らの「瞳」と「歴史」を賭けて一つの決断を下す。
それは、北条家という「過去」を終わらせ、武蔵や関東の民が歩むべき「未来」を切り開くための行為であった。
武蔵は、これらの激闘と交渉を経て、関東の支配権を実質的に掌握。
羽柴秀吉の天下統一に待ったをかけつつ、歴史の重大な転換点である「本能寺の変」へと本格的に向かっていく。