スレイン

新装版 ロードス島戦記 (全7巻) Kindle版

目次

外見

身体的特徴

スレインは非常に背が高く、瘦せぎすな体つきをしている。

その顔立ちは細く、実年齢以上に老けて見える老け顔であるのが特徴である。

髪の色は金髪で、短く切りそろえられている。

顎や頰に髭を伸ばす習慣はなく、その髪型や髪の長さは長年にわたって大きな変化が見られない。

衣服と装備

普段は魔術師の正装である賢者のローブを身にまとっている。

ローブの色は主に紺色であり、その裾は床にこすれるほど長い。

強い日差しを避けるためにローブのフードを深くかぶり、顔を影に隠して歩く姿がしばしば描写されている。

ヴァリスの王宮など特別な場では白色の賢者のローブを着用することもあり、危険な旅の最中には防御のためにローブの内側に革の鎧を着込むこともある。

賢者の杖

魔術師の証として、アランの賢者の学院が認めた者だけが所持を許される賢者の杖を携えている。

この杖は樫の古木などの木で作られており、片方の端が奇妙に歪んだ形状をしているのが特徴である。

杖の表面には、万物の根源たる力を操るための上位古代語のルーン文字が刻み込まれている。

物語の後半、特に邪神戦争の時期においてスレインが使用しているのは、大賢者ウォートから正式に譲り受けた別の魔法の杖である。

この杖には上位古代語の呪文がびっしりと刻み込まれており、非常に強力な魔力を秘めている。

スレインはこの杖をフレイム王国の宮廷魔術師としての公務や、マーモ帝国との戦いにおいて主要な装備として長く愛用している。

性格

知的探求心と豊富な知識

スレインは、アラニア王国の王都アランにある賢者の学院で学んだ魔術師であり、その知性は極めて高い。

物語を通じて彼は、古代語魔法の体系や精霊の理、さらには軍法や歴史に至るまで膨大な知識を有していることが描写されている。

彼は知識を単に他人に伝えるためではなく、新しい知識を得ること自体に楽しみを見出す性格である。

しかし、その知識は自然と他人の役に立つことになり、最終的にはフレイム王国の宮廷魔術師として重用されるまでになった。

慎重さと平和への渇望

自らを臆病者と称することが多く、無意味な争いや破壊のために魔法を使うことを極端に嫌う傾向がある。

この慎重な性格は、賢者の学院時代に親しい友人を救えなかったという過去の後悔に根ざしている。

彼は魔法使いが力に頼って歴史を操作することを危惧しており、正義の志であっても強すぎる力は均衡を乱すと考えている。

戦いを避けたがる一方で、より大きな破壊を防ぐためや、大切なものを守るためであれば、断固たる決意をもって困難な戦いに臨む勇気も持ち合わせている。

仲間や家族への深い愛情

スレインの性格は、自由騎士パーンとの出会いや、妻レイリア、娘ニースとの関係を通じて大きく変化し、深みを増していった。

かつては世間に背を向けて隠遁生活を送っていたが、パーンの真っ直ぐな生き方に触発され、自らの知恵を他人のために使うようになった。

特に家族に対する愛情は深く、娘のニースに平和な世界を見せたいという願いが、彼の行動の大きな原動力となっている。

彼は、呪われた運命を背負う妻や娘を支え、共に立ち向かう強さと優しさを一貫して持ち続けている。

現実的な視点を持つ指導者

理想を追い求めるパーンに対し、スレインは常に現実的で冷静な視点から助言を与える役割を担っている。

彼は、民衆が英雄や王を求める心理を理解しており、内乱や混乱を収めるためには象徴となるべき指導者が必要であるという冷徹な判断を下すこともある。

ザクソンの村では相談役として村の自治を指導し、異なる立場の人間が共存するための道を模索した。

彼の思想は、物事の真理を見抜いたうえで、目の前にある日常や人情を大切にするという賢者としての誠実さに裏打ちされている。

能力

古代語魔法の行使と実力

スレインは、アラニア王国の王都アランにある賢者の学院で修行を積んだ魔術師であり、万物の根源であるマナを操る古代語魔法の使い手である。

彼は上位古代語のルーンを正確に詠唱することで、多彩な魔術を発動させる能力を持っている。

その実力は学院卒業後も研鑽され、のちにはロードス島全土で北の賢者と称されるにいたる。

習得している多種多様な呪文

スレインが扱う呪文は多岐にわたる。

戦闘においては、広範囲の敵を無力化する眠りの雲や、強力な破壊魔法である火球、稲妻、氷雪の嵐などを使いこなす。

また、補助的な術にも精通しており、視覚を拡大して遠方の光景を見る遠見の魔法、他者の魔法や施錠を打ち消す解除や解錠の魔法、さらには自分や仲間を一瞬で遠方へ運ぶ瞬間移動の呪文なども自在に行使する。

知識と軍師としての才覚

スレインの能力は単なる魔術の行使に留まらない。

彼は賢者の学院で学んだ歴史や古代の伝承、さらには用兵学に関する膨大な知識を有している。

この知性を活かし、ザクソンの村の独立運動やフレイム王国の軍事行動において、実質的な軍師や相談役として的確な戦術的助言を行い、多くの危機を乗り越えてきた。

物事の真理を見抜き、複雑な状況を冷静に分析する能力は、国王カシューなどの指導者からも高く評価されている。

指導能力と知識の継承

教育者としての側面も持ち合わせており、ザクソンの村では文字の読み書きを教える先生として慕われている。

また、弟子のセシルに対しては、魔術師としての技術だけでなく、その精神の在り方についても指導を行い、一人前の魔術師へと育てあげた。

さらに、大賢者ウォートから強力な魔法の杖や貴重な古代の文献を譲り受けており、失われた古代の英知を現代に継承する重要な役割を担っている。

身体的な限界

魔術師としての精神力や知力は卓越しているが、一方で肉体的な頑健さには欠けている。

長時間の徒歩移動や厳しい山道の行軍ではすぐに疲労の色を見せ、仲間の戦士たちに遅れをとることがしばしば描写されている。

また、盾や鎧による防御を行わないため、不意の飛び道具など物理的な攻撃に対しては無力に近く、戦場では常にパーンなどの戦士による護衛を必要とする。

生い立ち

出自と幼少期の読書体験

スレイン・スターシーカーは、ロードス島の北東部に位置するアラニア王国の下級貴族の家に生まれた。

彼は幼い頃から非常に読書を好む子供であった。

母親は読書好きであったスレインの将来を考え、知人の伝てを頼り、彼が十二歳のときに王都アランにある賢者の学院へと入学させた。

賢者の学院での修行と研鑽

王都アランの賢者の学院に入学したスレインは、そこで十数年にわたり修行と学問に励んだ。

彼は近代の大魔術師と謳われた学長ラルカス導師に師事し、万物の根源たるマナを操る古代語魔法を習得した。

修行の末、学院が認めた魔術師にのみ所持が許される賢者の杖を授かり、正規の魔術師としての地位を確立した。

学院では魔術のみならず、歴史や用兵学などあらゆる分野の学問を修めており、その知識はのちに軍師としての才覚を発揮する礎となった。

親友の死と挫折

学院時代、スレインには傭兵上がりの戦士という親しい友人がいた。

その友人がアランの盗賊ギルドを壊滅させようと計画した際、スレインは危険すぎるとして一度は協力を断ったが、決意を変えない友人のために姿隠しの指輪を貸し与えた。

しかし、その友人はギルドの手にかかって惨殺され、スレインは自分が彼を引き留めなかったことを一生の過ちとして深く後悔することになった。

この事件をきっかけに、彼は盗賊ギルドとの対立を避けるようにして王都アランを去った。

ザクソンの村での隠遁生活

アランを離れたスレインは、アラニア北部の白竜山脈の麓にあるザクソンの村へと移り住んだ。

彼は村人に文字の読み書きを教える先生として、二年間ほどの静かな隠遁生活を送っていた。

村人からは変わり者と思われつつも、知識豊かな先生として慕われていた。

人間関係

ギム

冒険の始まりと旧知の間柄

ドワーフの細工師であるギムと魔術師スレインは、パーンが旅に出る以前からの知り合いであった。

ギムは、かつて自らの命を救ってくれたターバの最高司祭ニースへの恩義を返すため、七年前に行方不明となった彼女の娘レイリアを探す旅に出ることを決意した。

その旅の途上で、ギムはアラニアの北にあるザクソンの村に住むスレインの家を訪ねている。

折しも、若き戦士パーンと神官エトが村を脅かすゴブリンの退治に向かった直後であり、スレインとギムは村長からの依頼を受けてふたりを助けに向かった。

この共闘を経て、スレインはパーンの危うい若さを守るために同行を決め、ギムもまた自身の目的を果たすため、ともに旅の一員となった。

対照的な性格と軽口の応酬

スレインとギムの関係は、知識を重んじる魔術師と、肉体的な強さと頑固さを併せ持つドワーフという、対照的な個性の組み合わせであった。

ギムは本ばかり読んで身体を鍛えないスレインをたびたび揶揄し、魔術のことを手品のようなものだと称してスレインを「手品師」と呼ぶこともあった。

旅の道中でスレインが足の疲れを訴えると、ギムは運動不足を指摘しつつも、自らの空腹を理由にして休息を促すなど、ぶっきらぼうながらもスレインを気遣う様子を見せていた。

一方のスレインも、ドワーフ特有の頑固さや、エルフであるディードリットに対する偏見を理解した上で、適切に言葉を交わすことで一行の調和を保っていた。

ギムの秘めた目的とスレインの察知

旅が続くにつれ、スレインはギムが単なる気まぐれで旅をしているのではないことに気付き始める。

アラニアの廃屋で灰色の魔女カーラの肖像画を見つけた際、ギムはその絵を食い入るように見つめ、その女性がレイリアに似ていると呟いた。

スレインはこの時のギムの反応や、彼が密かに謎かけや地図について調べていたことから、ギムには明確な目的があることを見抜いていた。

ギム自身は、ニースとの約束やレイリアへの思いをすぐには仲間に明かさなかったが、スレインはギムが何らかの重い宿命を背負っていることを察し、静かにその行動を観察していた。

ギムの自己犠牲とスレインに託された遺志

ルノアナ湖における灰色の魔女カーラとの決戦において、ギムは自らの命を賭してレイリアを呪縛から解放した。

カーラに支配されたレイリアの精神を揺さぶるため、ギムは大地母神マーファの教えを叫び続け、最後は彼女が放った魔法を正面から受けて倒れた。

ギムの死を目の当たりにしたスレインは、ギムが命をかけてまでレイリアを救おうとした真意を仲間に語り、彼の死を無駄にしないよう一同を導いた。

ギムが死の間際まで完成させた金の髪飾りはスレインによって回収され、呪縛から目覚めたレイリアに手渡された。

スレインはギムが果たせなかった「レイリアを母のもとへ送り届ける」という使命を引き継ぎ、彼女とともにターバの大神殿へと向かった。

レイリア

夫婦関係と家族の構成

スレインとレイリアは夫婦である。

ふたりは灰色の魔女カーラの支配からレイリアが解放された後の帰路で結婚を約束し、アラニアにある大地母神マーファの神殿で儀式を挙げた。

ふたりの間には娘がひとりおり、レイリアの母である最高司祭ニース(大ニース)の名を継いでニース(小ニース)と名付けられている。

スレインがかつてザクソンの村で一人暮らしをしていた頃、彼の家は書物や魔法の道具で散らかっていたが、結婚後は綺麗好きなレイリアの影響で整えられた客間が増築されるなど住環境が変化している。

過去を共有する深い精神的絆

ふたりの結びつきは単なる夫婦愛という言葉だけでは語りきれないほど強いものである。

レイリアは六英雄のひとりである大ニースから、自分がかつて封印された邪神の最高司祭ナニールの転生体であることを教えられていた。

スレインもまた、死の床にあった大ニースからこのレイリアの出生の秘密を託されている。

ふたりは呪われた運命と忌まわしい過去を共有しており、スレインはカーラに肉体と精神を支配されていた七年間の記憶に苦しむレイリアを献身的に支え続けている。

互いへの献身と共通の志

スレインは、レイリアに心からの微笑みを取り戻させ、娘のニースに平和な世界を見せてやりたいという願いを活動の原動力としている。

かつてのスレインは争いを嫌って隠遁生活を送るような消極的な性格であったが、レイリアと結ばれてからは彼女の負った業を共に背負い、ロードスの再建のために力を尽くすようになった。

レイリアもまた、自分がカーラとしてロードスにもたらした戦乱を償うため、スレインと共に各地の争乱を収める旅に同行している。

ふたりは互いの実力と信念を深く信頼しあっており、自由騎士パーンらと共に困難な冒険を乗り越えてきた。

役割の分担と未来への歩み

邪神戦争が終結した後のスレインとレイリアについては、フレイム王国の宮廷に留まり、共に生活している様子が示唆されている。

スレインは大賢者ウォートの跡を継いで最も深き迷宮の番人を務める可能性も示唆されており、その傍らには常にレイリアが寄り添うことが期待されている。

ふたりの関係は、過酷な宿命に立ち向かいながら次代のロードスを導く賢者と聖女の象徴として描かれている。

カシュー

初対面と実力の承認

魔術師スレインとフレイム王カシューの出会いは、英雄戦争のさなかに、スレインたちがヴァリス王国のフィアンナ王女を救出した際にまでさかのぼる。

カシューは、スレインが賢者の学院出身で高い実力を持っていることを即座に見抜き、初対面の段階からその知性と魔法の力を高く評価していた。

このとき、カシューは将来的にスレインをフレイムの宮廷魔術師として迎え入れたいという意向をすでに示している。

信頼に基づく招聘と受諾

カシューはスレインに対し、自らの右腕として国政や軍事を助けてほしいと何度も熱心に誘いかけた。

スレインは当初、家族やザクソンの村を守ることを優先してこの申し出を断り続けていたが、カシューへの恩義やロードス全体の平和を願う気持ちから、最終的にフレイムの宮廷魔術師に就任することを受諾した。

邪神戦争の時期には、スレインは宮廷魔術師として十年近くカシューに仕えており、王国に欠かせない重鎮となっている。

戦場における盟友関係

火竜山の魔竜シューティングスターとの戦いにおいて、スレインは魔法による防御や援護を駆使し、カシュー率いる騎士団の苦境を幾度も救った。

カシューは自分の実力だけで解決しようとする傾向があるが、スレインの知謀と魔法の重要性を深く理解しており、困難な任務の際には常にスレインの助言を求めた。

スレインもまた、剣を握れない自分にできることはカシューのような英雄的な王を助けることだと自覚し、その使命を果たそうとしている。

政治的な助言と立場の相違

スレインは単なる部下ではなく、カシューに対してはっきりとした意見を述べる相談役としての側面も持っている。

カシューがアラニア侵攻において強引な手法を取った際、スレインはその犠牲の大きさを憂慮し、王としての非情な決断を批判的に見守ることもあった。

しかし、カシューはスレインの誠実さと知識を心から信頼しており、スレインもまたカシューがロードスの平和を真剣に考えていることを信じて、王に忠誠を尽くしている。

私的な親愛と敬意

ふたりの関係は公的な王と臣下の枠を超え、個人的な敬意と親愛の情によって結ばれている。

カシューはスレインの思慮深くもの静かな性格を好んでおり、時には冗談を交えてからかうなど、気心の知れた友人として接している。

スレインもカシューの建国王としての苦労を察しており、王が抱える責任を共有しようと努めている。

この強い個人的な絆が、フレイム王国という強国を支える精神的な柱のひとつとなっている。

ニース(小ニース)

父娘としての絆と名付けの由来

ニース(小ニース)は、魔術師スレインと大地母神マーファの司祭レイリアとの間に生まれたひとり娘である。

彼女の名前は、レイリアの母であり救国の六英雄のひとりでもある最高司祭ニース(大ニース)の名をそのまま譲り受けたものである。

スレインにとって娘のニースは深い愛情の対象であり、彼女に平和な世界を見せてやりたいという願いが、彼の行動における大きな原動力となっている。

スレインは、レイリアやニースが背負う過酷な宿命を支え、共に立ち向かう強さと優しさを持ち続けている。

邪神復活の宿命とスレインの葛藤

ニースは、破壊の女神カーディスをこの世に復活させるための「ひとつの扉(依代)」としての役割を、その肉体に宿命づけられている。

黒の導師バグナードがこの企みを実行に移し、ニースがさらわれた際、スレインはその事実を知って血の気が失せるほどの衝撃を受け、娘を守れなかった自身の無力さを激しく呪った。

バグナードによる召喚の儀式が進むなか、スレインは精神と精神の力比べを強いられる娘の苦しみを誰よりも理解し、深い焦燥感にかられていた。

儀式の場における魂の救済

バグナードがマーモの地下神殿で儀式を完遂しようとした際、スレインは現場に駆けつけ、娘の意識が邪神に取り込まれないよう必死の呼びかけを行った。

彼は祭壇から離れた場所にいたが、意識が混濁するニースに対し、マーファの聖女として育てられた記憶を思い出すよう大声で叫び続け、彼女の自我を繋ぎ止める助けとなった。

この際、スレインは娘の命を救うために、女神マーファがこの世界に復活して娘の肉体が滅びる道よりも、ただ娘が無事に返ってくることだけを唯一の望みとして提示した。

戦後の自立と見守る立場

邪神戦争が終結した後、父娘はそれぞれの使命のために異なる道を進むこととなった。

スレインはフレイム王国の宮廷魔術師として留まり、復興に力を貸すことになったが、ニースは自らの意志でマーモの地に残り、その地を浄化するための侍祭となることを希望した。

スレインは娘が経験した苦難がこれからの人生に活かされることを信じ、彼女が未来のロードスを導く存在になることを確信してその旅立ちを認めた。

ふたりは物理的には離れて暮らすことになったが、その信頼関係は冒険を通じてより強固なものとなっている。

ニース(大ニース)

義理の母としての絆

スレインにとってニース(大ニース)は、妻レイリアの母であり、義理の母にあたる存在である。

彼女は大地母神マーファを信仰する最高司祭であり、魔神戦争を戦い抜いた救国の六英雄のひとりとしてスレインからも深く尊敬されている。

ふたりの関係は単なる親族としての付き合いに留まらず、彼女の過酷な運命を支える同志としての強い信頼に基づいている。

娘レイリアの救済と託された信頼

ニースは、かつて灰色の魔女カーラに連れ去られた娘レイリアの救出をドワーフのギムに託したが、その旅にスレインが加わったことを幸運と考えていた。

スレインがカーラの呪縛からレイリアを解放し、彼女の心の支えとなったことに対し、ニースは深い感謝の念を抱いている。

ニースは、スレインがレイリアを絶望から救い、彼女に再び生きる気力を与えた功績を高く評価している。

死の床で明かされた出生の秘密

ニースは自らの死が近いことを悟った際、スレインを枕元に呼び寄せ、重大な秘密を託した。

それは、レイリアがかつて封印された邪神カーディスの最高司祭、亡者の女王ナニールの転生体であるという事実である。

ニースはこの真実をレイリア本人や孫のニース(小ニース)に伝える役割をスレインに委ね、彼ならばこの呪われた運命に立ち向かえると確信していた。

英雄としての遺志の継承

スレインは、ニースの最期の対話を通じて、彼女がロードスの未来を憂いながらも、次代の勇者たちに希望を託していることを理解した。

ニースが息を引き取った後、スレインは彼女の遺志を継ぎ、レイリアや小ニースを襲う邪神復活の陰謀を阻止するために立ち上がる決意を固めている。

スレインにとってニースは、自らの魔術や知識を人々のために使うべきであるという教えを体現する、精神的な導き手でもあった。

ウッド・チャック

出会いと相互の役割

スレインとウッド・チャックは、アラニア王国の王都アランにある宿屋、水晶の森亭で初めて対面した。

スレインが仲間とともに賢者の学院の没落について語っていた際、盗賊であったウッド・チャックがその話を盗み聞きし、金になりそうな情報を提供したことで一行に加わることとなった。

旅の過程において、スレインは知恵と古代語魔法を提供し、ウッド・チャックは鍵開けや罠の解除、潜入調査といった盗賊としての技術を駆使して一行を助けた。

対照的な立場ではあったが、共通の冒険を通じて、魔術師と盗賊という異なる役割を補完しあう関係となった。

スレインの警戒心と信頼

スレインは当初、過去に親友を盗賊ギルドとの関わりで亡くした経験から、盗賊であるウッド・チャックに対して強い警戒心を抱き、仲間たちにも盗賊の話に耳を貸すのは危険だと忠告していた。

しかし、真を聞き分ける耳の魔法を用いて彼の言葉が真実であることを確認し、その技能を認めて共に行動することを選択した。

冒険が進むにつれ、スレインはウッド・チャックの盗賊としての手際の良さを認め、鍵のかかった扉の調査などを彼に任せるなど、実務的な信頼を寄せるようになった。

額冠を巡る対立と断絶

ルノアナ湖での灰色の魔女カーラとの決戦直後、ふたりの関係は決定的な転機を迎えた。

スレインはウッド・チャックに対し、手に入れた額冠を床に叩きつけて砕くよう促したが、自らの野望と力を求めたウッド・チャックはスレインの言葉を拒絶した。

ウッド・チャックは、スレインのように古代語を理解する頭脳もパーンのような力も持たない自分を認めさせるため、カーラの力を手に入れるという道を選び、額冠を装着して行方をくらませた。

これにより、ウッド・チャックは十五年間にわたりカーラの肉体として支配されることとなり、ふたりの仲間としての関係は一度断絶した。

十五年後の再会と絆

邪神戦争の終結時、マーモの地下神殿においてスレインの妻レイリアが額冠をウッド・チャックから引き剥がしたことで、ふたりは十五年ぶりに再会した。

スレインは、年老いたウッド・チャックに対してかつての仲間として接し、彼の無事を確認した。

ウッド・チャックが自身の行為を後悔していないと語った際も、スレインはその生き方を彼らしいものとして受け入れ、再会を喜びあった。

ふたりの関係は、長きにわたる空白と裏切りを経てなお、英雄戦争を共に戦い抜いた冒険者としての絆によって結ばれていた。

パーン

パーン

ディードリット

ディードリット

エト

エト

セシル

師弟としての固い結びつき

セシル・ファーレンスは、魔術師スレイン・スターシーカーにとって最初の弟子である。

ふたりの間には強固な信頼関係が築かれており、セシルはスレインを導師として深く尊敬し、スレインもまたセシルを自身の後継者として重んじている。

セシルは、北の賢者と呼ばれるスレインの活動を間近で支え、スレインが不在の折にはザクソンの村の運営や防衛を実質的に代行する立場にある。

賢者の学院を起点とする縁

セシルはアラニア王国の名門貴族の出身であるが、五男であったため魔術師を志した経緯を持つ。

彼はかつて王都アランの賢者の学院に在籍しており、スレインにとっては学院の後輩にあたる存在であった。

黒の導師バグナードによって学院が崩壊した後、セシルは導師の私塾を経て、最終的にスレインを頼ってザクソンの村を訪れたことで師弟関係が成立した。

ザクソンにおける役割分担と指導

ザクソンの村において、スレインは村長から相談役を頼まれる指導的な立場にあり、セシルは自警団長として村の治安維持にあたった。

スレインは、正義感が強く直情的なセシルの性格を、かつての友人である自由騎士パーンの若い頃に似ていると感じている。

そのためスレインは、戦士のように力で解決しようとしがちなセシルに対し、魔術師としての分別や慎重さを常に説き続けてきた。

意志と地位の継承

スレインは、セシルが一人前の魔術師になった証として、自身の名が刻まれた「賢者の杖」を彼に授けている。

邪神戦争が終結に向かうなかで、スレインはフレイム王国の宮廷魔術師に就任することを決意したが、その際、ザクソン自治領の未来をセシルに託した。

スレインは、アラニアの新王ロベス二世が悪政を行わないよう監視する役割として、セシルにアラニアの宮廷魔術師およびザクソン伯爵の地位を継承させ、セシルもその重責を担うことを承諾した。

スパーク

師弟としての絆と私塾における教育

スレインとスパークは、深い信頼で結ばれた師弟関係にある。

スレインはフレイム王国の宮廷魔術師を務める傍らで私塾を開いており、スパークはその塾生として学問を修めていた。

スレインはスパークの豊かな才能を見抜き、彼に魔術を学ぶよう勧めたこともあったが、騎士を目指す志を持っていたスパークはその申し出を丁重に断っている。

スパークにとってスレインは、単なる知識の授け手であるにとどまらず、自らの未熟さを厳しくも温かく導いてくれる尊敬すべき恩師であった。

任務における助言者と監督役としての関わり

フレイムの宝物庫から魂の水晶球がダークエルフによって盗み出された際、スレインは自らの失態に打ちひしがれるスパークを助け、再起の機会を与えるようカシュー王に進言した。

スレインは、スパークに宝物奪還という重大な任務を託すことで、自らの責任を自覚させ、騎士としての自立と成長を促そうと考えたのである。

アシュラムを追う過酷な旅の過程においても、スレインは豊富な知識を活かしてスパークの決断を支えるとともに、若さゆえに功名心へ走りそうになる彼を冷静に監督する役割を担った。

カシュー王からも、スパークが無茶をしないよう監督することを特に頼まれていた。

次代の指導者に対する期待と戦後の展望

スレインは、スパークを単なる優秀な騎士や文官として終わらせたくないというカシュー王の親心のような期待を共有していた。

スパークが炎の部族の族長家という高貴な出自であり、将来的にフレイムやロードスを導くべき器であることを、スレインは教育者として深く理解していた。

そのためスレインは、スパークが単に与えられた任務をこなすだけの男になるのではなく、自らの意志で大切なものを見出し、信念に従って行動できる真の勇者へ至ることを期待し続けた。

邪神戦争が終結した後、スレインは宮廷魔術師としてフレイムに留まり、自ら望んでマーモの地での復興と浄化の道を選んだスパークの成長と前途を、見守り続ける立場となった。

アルド・ノーバ

師弟関係と信頼の絆

アルド・ノーバはフレイム王国の魔術師であり、スレイン・スターシーカーの門下で修行を積んだ弟子である。

スレインはフレイムの宮廷魔術師を務める傍らで私塾を開いており、アルド・ノーバはそこでスレインから古代語魔法を学んでいた。

アルド・ノーバは師であるスレインを心から尊敬しており、その関係は強固な信頼によって結ばれている。

託された秘密と共通の重責

スレインは自身の弟子であるアルド・ノーバとイアハートのふたりにだけ、邪神復活を巡る重大な秘密を打ち明けている。

それは、フレイムの宝物庫から盗まれた魂の水晶球が邪神カーディスを復活させるための祭器であることや、スレインの娘である小ニースが邪神復活の依代となる宿命を背負っているという事実であった。

アルド・ノーバはこの話を聞かされた際、あまりの恐ろしさに一睡もできないほどの衝撃を受けたが、師からこの事実を託されたことで、自分たちが何をなさねばならないかを深く自覚するにいたった。

王国における職務上の協力

ふたりはフレイム王国の公務においても深く関わっている。

スレインが宮廷魔術師として国の重責を担うなかで、アルド・ノーバは文官として宝物庫の管理責任者という任務を任されていた。

魂の水晶球がダークエルフによって盗み出された際、アルド・ノーバは管理責任者としての責任を重く受け止め、その奪還任務に自ら加わることとなった。

スレインは教え子であるアルド・ノーバの実力と誠実さを理解しており、重要な探索行に彼を送り出している。

精神的支柱としてのスレインの影響

アルド・ノーバは魔術師とは思えないほどの大男でありながら、性格はきわめて穏やかで気が小さく、争いを好まない。

このような気質は、かつて隠遁生活を送っていた時期のスレインの性格とも重なる部分があり、アルド・ノーバはスレインから魔法の技術だけでなく、物事の捉え方についても多くの影響を受けている。

彼は師の教えを忠実に守り、過酷な運命に立ち向かう小ニースを支え、仲間のために自らの知恵を尽くそうと行動している。

イアハート

師弟としての深い信頼関係

イアハートは、フレイム王国の宮廷魔術師スレイン・スターシーカーに師事した弟子のひとりである。

スレインは数多くの門弟を抱えていたが、その中でもアルド・ノーバとイアハートのふたりを特に厚く信頼していた。

それは、破壊の女神カーディス復活の鍵となる「祭器」の秘密を、弟子の中ではこのふたりにだけ打ち明けていたことからも明らかである。

スレインにとってイアハートは、重要な機密を共有できる数少ない優秀な後継者のひとりであった。

魔術師としての技量と職務上の役割

魔術師としてのイアハートの技量は極めて高く、かつてのアラニアの賢者の学院における導師級に相当する魔術を修得していた。

フレイム王国では文官として出仕しており、王城アーク・ロードにある宝物庫の管理責任者という重責を担っていた。

スレインが宮廷魔術師として国政に関わるなか、イアハートは魔法の宝物を守護するという実務面での重要な役割を果たしていたのである。

宝物庫襲撃による死とその余波

王城アーク・ロードがダークエルフによる襲撃を受けた際、イアハートは管理責任者として宝物庫を守るために戦ったが、非業の死を遂げた。

この襲撃によって、保管されていた祭器のひとつである魂の水晶球が賊に奪われることとなった。

将来を嘱望された弟子であり、城の重鎮でもあったイアハートを失ったことは、師であるスレインにとって精神的にも実務的にも大きな損失であった。

スレインはこの悲劇の後、残された弟子であるアルド・ノーバとともに、奪われた宝物の奪還と邪神復活の阻止に向けて動きだすことになる。